エンタテイメントは、経験財であり、ココロに作用するもの。
そして、それを体験したユーザーにある種のココロの動きを誘発するもの。
他人のココロの動きが全く同じということはあり得ないが、少しばかり許容範囲を広げて表現すると、エンタテイメントそのものが”メディアである”ということができる。
何を伝えるメディアなのかというと、ユーザーにココロの動きを伝えるメディア、という考え方。
正確にココロの動きを伝えることができないという点で、メディアという言葉に違和感があるのであれば、”体験を共有するメディア”という言葉のほうが良いかもしれない。
いずれにしても、エンタテイメントそのものをメディアと捉えることによって、エンタテイメントの構成要素の洗い出しがやりやすくなる。
つまり、ある部分については、比喩的にメディアの構成要素とオーバーラップさせて考えていくことができる。
その考え方をとる際には、いったんエンタテイメントのコンテンツについてはブラックボックス化して、コンテンツの伝達経路はどうなっているかということを考えれば良い。
ただし、実は、それをも包含して全体としてエンタテイメントは構成されているということは忘れないようにしておきたい。
さて、コンテンツありきの状態で、エンタテイメントの伝達経路を考えてみる。
分かりやすく身近なところで、ユーザーが「体験」するという地点を出発点として考えはじめてみる。
ユーザーが体験する地点というのは、何かの刺激が感覚(五感)に伝わるという瞬間のこと。
内面に向かって考えていくと、その刺激がやがてユーザーのココロへ作用していくということになるわけだけれど、
ココロへの作用はひとまず考えずに置いておき、まずはここから外へ向かっていこう。
ユーザー(ヒト)の感覚は一般的には五感といわれ、
視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚がある。
少し言い換えると、
見る、聞く、体感する、匂う、味わうという行動となるわけだけれど、
エンタテイメントもこれらの組み合わせによって体験している。
例えば、映画は見て聞いて体感するものであり、
TVドラマや家庭で見るDVDは見て聞くものではあるが、体感するかどうかは微妙なところ。
ラジオで放送される落語は聞くものだけれど、寄席での落語は見て聞いて体感もすると思う。
このようなエンタテイメントを体験するときの感覚の組み合わせを「感覚インターフェース」と呼ぶことにする。
次に、感覚を刺激するのがどのような情報なのかということを考えることが出来る。
見るといっても、それが文字を見るのか絵を見るのか、あるいは動画を見るのか。
あるいは体感するのは、体全体に感じる振動やスピードなのか、手先にふれる形や硬さなのか。
言い換えれば、どんなカタチを感じることで体験するのかということで、
これを「体験インターフェース」と呼ぶことにする。
この体験インターフェースは、ヒトの感覚寄りの部分なのだけれど、
少し体から離れたところに目を向けると、
その刺激がどこから発せられているのかということについて「表現デバイス」というものを考えることができる。
具体的には、テレビや映画館、本やオーディオコンポやライブハウスなどのこと。
この表現デバイスについては、今のアイデアとして、これらの要素を4象限に分類して整理しておきたいと思う。
それは、ひとつの軸としてライブと再生、もうひとつの軸としてリアルとバーチャルを使う4象限の分類。
より理解するために、簡単にひとつひとつの象限を見てみたい。
バーチャル×再生の領域が最もバラエティに富んでいて、ほとんどのバリエーションはここに含まれる。
テレビだ、映画館だ、ケータイ画面だ、書籍だ、オーディオコンポだ、iPodだ、などというバリエーションが並ぶ。
演劇やコンサートはリアル×再生の領域に入る。
リアル×ライブは例えばサッカーなどのスポーツが典型的なものである。
バーチャル×ライブはあるのか?RPGやアクションゲームのようなインタラクティブ性のあるゲームはここに入ると思われる。
トランプゲームや、カード対戦ゲーム、あるいはボードゲームはリアル×ライブに入ってくる。
例えばボードゲームで著名な人生ゲームはバーチャルではないかという疑問があるかも知れないが、
そのバーチャルはコンテンツの中で語られるバーチャルであるから、今考えているようにメディアとして捉えたときにはやはりリアルだといえる。
そして、表現デバイスに入ってくるものを考えると、「記録メディア」というものが存在することに気付く。
これはまさにメディアなので、あまり説明の必要は無いが、ちょっと発想を広げておきたい。
すなわち、すぐに思いつくDVDやCDだけではなく、ネットワークやヒトも記録メディアとして捉えることにする。
ネットワークはすぐ理解できると思うが、ヒトというのは、例えば役者。
演劇を観るときには、その演劇を舞台の上で演じている役者を記録メディアとして位置づけるということである。
またそのときには、舞台の小道具や舞台装置も同じく記録メディアと位置づけることになるのだけれど、
少しイメージしてみてください。
つまりは、エンタテイメントのコンテンツを記録しているもののことを言っているわけです。
ちょっと一区切り。
今のメディア構成要素を並べてみると次の通り。
感覚インターフェース 五感、どういう感覚で体験するかを分類する
体験インターフェース 文字とか画像とか動画とか、音とか実写とかアニメとか、情報のカタチの分類をする
表現デバイス ライブと再生に分かれ、リアルとバーチャルに分かれる4象限。
記録メディア:コンテンツを記録するもの